追記(2018年7月15日):【補足】withが付いた分詞構文
中級 〜
6月28日の「because の用法の違いを示す」で,新しい記号として山括弧 〈 〉の導入を提案しました。
その後すぐ,数日前ですが,講座の生徒さんの添削指導で,活用の場面が出てきました。
(iPad の MetaMoji Share で記号づけを共有する添削指導は,とても効率的です)
Enjoy Simple English(NHKラジオ 2017年8月24日放送)
世界の偉人伝/マリリン・モンロー(Marilyn Monroe)
の先頭の部分です。
先頭部分ですので,文脈は示さなくてもよいかと思います。
まずは,じっくりみてください。
ふつうは,難しいとは思われない英文だと思います。
A lot of people know the picture of Marilyn Monroe in the street with the wind blowing her dress. People may think she was only famous because she was beautiful.
記号づけ・チャンク訳:
「英語の見える化」のふつうの記号づけと,チャンク訳を示します。
. S V O
多くは 人々の 知っている 写真を マリリン・モンローの 通りにいる
. ↓which was
[with the wind [|blowing〉 her dress]A]-a.
. (s) (v) (o)
風を受けた 吹き上げている 彼女のドレスを
People (may think〉(she (was) only famous [because she (was) beautiful]).
. S V S’ =’ C’ S” =” C”
.人々は 思うかもしれない ただ 有名 〜ので 彼女は 美しかった
. 彼女は だった
[with the wind …]-a の a に付いているマイナスは,
直前の名詞を飛び越えて,その前の名詞を修飾していることを示しています。
矢印は,ゴチャゴチャするので,できるだけ使わないようにしています。
さて,この記号づけだけでは満足できない箇所が,私には2箇所あります。
英文を理解し,感じるために,ひとまとまりで捉えたい部分を山括弧 〈 〉で囲むと,次のようになります。
その2箇所,どこだと思われますか?
山括弧を加えた記号づけと解説:
. S V O
多くは 人々の 知っている 写真を 通りに立っているマリリン・モンローの
[with the wind [|blowing〉 her dress]A]-a.
. (v) (o)
ドレスを吹き上げている風を受けている
People (may think〉(she (was) only〈famous [because she (was) beautiful]〉).
. S V S’ =’ C’ S” =” C”
.人々は 思うかもしれない ただ 美しかったので有名
. 彼女は だった
1)〈Marilyn Monroe]a [in the street]a〉
[with the wind …]-a は[blowing …]A が付いて長くなったので文の後に回された,という文法的説明もあるでしょうが,
Marilyn Monroe に [in the street]a が直結されているのは,意味があると感じます。
通常,「名詞+形容詞句」は名詞のかたまりを形成しますが,
この英文では,
Marilyn Monroe in the street
は,その前の the picture に対しても,その後の with the wind … に対しても,この英文の中で大事な名詞のかたまりとして機能しているように感じます。
つまり,
[with the wind [|blowing〉her dress]A]-a
は形の上で(直前の street を修飾していないので) -a が付くのですが,
というのは,単に Marilyn Monroe ではなく,
〈Marilyn Monroe]a [in the street]a〉
路上にいる(あの有名なシーンの)マリリン・モンロー
であるということです。
山括弧 〈 〉 は,通常の記号づけの後から補助的に加えることを想定しているので,このような形になっています。

2)she was only 〈famous [because she was beautiful]〉
she was onlyfamous [because she was beautiful]
彼女はただ有名なだけだった,彼女は美しかったので
というのが,ふつうの和訳ですが,それではヘンですね。
〈 〉 を加えると
she was only 〈famous [because she was beautiful]〉
彼女は,ただ 〈美しかったから有名〉 だった
(彼女は,美しかったから有名になったに過ぎなかった)
のように正しく理解できます。
もちろん,英文ではその前に People may think がありますから「人々はそう考えるかもしれない(しかし違う)」と言っているわけです。
「because の用法の違いを示す」では,because の用法として
直前の動詞句にその理由・原因を付加する用法
を提案しましたが,範囲を広めて,
直前の叙述語にその理由・原因を付加する用法
とするのが良さそうです。
with the wind blowing her dress
で分詞構文になっているのではないか?という質問がありました。
with が付いた分詞構文については,文法書に次のような項があります。
・「with+独立分詞節」[43 p.249]
・with+独立分詞構文 [45 p.171]
・付帯状況を表すwith+(代)名詞+分詞 [241 p.241]
例文をお借りします。
記号とチャンク訳を付けました。
1) The dog (sat) there [with his tongue |hanging) out]. [241]
. S V (s) was (v)
その犬は 座っていた 舌をたらして
. そこに
2) He (stood) [in front of us] [with his arms|folded)]. [241]
. S V (s) were (v)
彼は 立っていた 腕を組んで
. 私たちの前に
1) では現在分詞,2) では過去分詞が使われています。
意味上の主語(s)と分詞(v)が並んでいるので,be動詞 was と were を補いました。
ともに付帯状況を表していますが,大事なことは,分詞構文では
形容詞節ではなく副詞節
であるということです(分詞節は clauseですので節とします)。
副詞ですから主節で述べられている動作の付帯状況を表しています。
Marilyn Monroe の英文では,動詞 know の付帯状況とは考えられません。
分詞構文となるように副詞節に変えるとしたら次のようになります。
(長いので,口語的ではありませんが,in which を使います)
A lot [of people]a (know〉 the picture [in which Marilyn Monroe (stands) [in the street]
. S V O S’ V’
多くは 人々の 知っている 写真を (その中で)マリリン・モンローが 立っている 通りに
[with 〈the wind |blowing〉 her dress〉]]A.
. (s) was (v) (o)
. 〈風がドレスを吹き上げている〉 状況で
またまた 〈 〉 の新たな使いみちが出てきました。
上の例では,独立分詞節が with のネクサス目的語であることを示しています。
これについては,「(続2)山括弧〈 〉」でまとめたいと思います。
[45] 表現のたための 実践ロイヤル英文法 綿貫陽・マイク・ピーターセン共著(2006)
[241] 総合英語Forest 石黒昭博監修 桐原書店(第7版,2013)
[508] 大人の英文法 佐藤誠司 http://kabuse.y7.net/eigo/otona-cont.htm
. 大人の英文法125-ネクサス http://kabuse.y7.net/eigo/otona-125.htm
. 大人の英文法128-補部構造と補文標識 http://kabuse.y7.net/eigo/otona-128.htm
また,このような微妙な英文理解の指導を可能にするのが「英語の見える化」だと思っています。