2019年4月4日にリライトしました。
「英語の見える化」で後第5文型と呼んでいる「いわゆるSVOC型」については,イギリスの文法書も参考にしてさらに整理できればと考えています。
ネクサス目的語なんて聞き慣れない文法用語で,ふつうの人には必要なさそうです。
しかし,勉強しておいて損はありません。
文法のためではなく,少し複雑な英文でも読んで感じられるようになるために,です。
山括弧 〈 〉を使うだけで,とても理解しやすくなります。
例文は一般的なものですので,文献 [43] から引用させていただきました。記号も付けました。
中級 〜
ネクサス nexus は「主語+述語」の構造です。
単なる名詞ではありませんが,目的語となってネクサス目的語と呼ばれます。
ネクサス目的語(主語+述語)には,2種類あります。[43, p.817]
1.that, whether, for などで導かれる名詞節
.
2.名詞節ではないが「主語+述語」を持つもの
. 小節と呼ばれることがあります。「ミニの名詞節」とでもいいましょうか。
例を示します。
1.ネクサス目的語(主語+述語) が名詞節であるもの
I (believe〉(that John is innocent).
私は,ジョンは無実だと信じている
(that は省略可能)
I (doubt〉(whether we can do any better).
私は,これ以上うまくできるか疑問だ
I (hate〉(for Texas to |lose)).
I (hate〉(for T (s)as to |(v)
〈米〉おれ,テキサスが負けるのはいやだ
これらの名詞節は ( ) で囲みますので 〈 〉 は必要はありません。
ネクサスという言葉を持ち出すまでもないでしょう。
2.ネクサス目的語(主語+述語) が名詞節ではないもの
まず,第5文型(SVOC)とされている例文を,通常の記号づけとともに示します。
C が to不定詞
I (believe〉John to |be) innocent.
S(beliVve〉JiO(s) tC(=) ni(c)
私は,ジョンは無実だと信じている
C が原形不定詞
I (saw〉 Mary |enter〉the house.
S(sVw〉N O(s) rC(v)t〉 the(o)
私は,メアリーがその家に入るのを見た
C が -ing形(現在分詞)
He (saw〉the wood |burning).
Se (sVw〉the O(s)was C(v)
彼には森が燃えているのが見えた
C が過去分詞
I (saw〉my team |beaten).
S (sV〉my O(s)was C(v)
私は,自分のチームが負けるのを見た
この4つの例文は,典型的な第5文型(O = C となる)ではありませんが,
学習文法では第5文型(すなわち SVOC)とされています。
しかし,学問的に掘り下げると,これらの英文の他動詞の
本当の目的語は O で示された語句ではない
つまり
正しくは SVOC型 ではない
ようです。
この記事の最後に記載していますが,典型的な第5文型(O = C)ではなくても,SVOC型となる動詞もあります。
それでは,これらの英文の本当の目的語と言えるネクサス目的語 (主語+述語)を〈 〉で囲んで示します。
小節(ミニの名詞節)という感じがわかるかと思います。
I (believe〉〈John to |be) innocent〉.
S (beVevi〉 O ei(s) ton (=)) ii (c)
私は〈ジョンは無実だ〉と信じている
I (saw〉〈Mary |enter〉the house〉.
S (sV〉i O〈i(s)ry|e(v)r〉the (o)
私は〈メアリーがその家に入るの〉を見た
He (saw〉〈the wood |burning)〉.
Se (sV〉〈 Othe wo(s)was (v)
彼には〈森が燃えているの〉が見えた
I (saw〉〈my team |beaten)〉.
S)sVw〉 Omyet(s)was|b (v)
私は〈自分のチームが負けるの〉を見た
通常の記号づけで英文の基本的な理解ができますが,
小節(ミニの名詞節)を〈 〉で囲むことによって,さらに深く理解するための説明,確認ができそうです。
小節は,前置詞 with のネクサス目的語(主語+述語)となることがあります。
「前置詞の目的語」という言い方は,文法書にしばしば出てきます。
前置詞の後には,代名詞の目的格が来るので納得できるかと思います。
ジーニアス英和では「at O」のように表記したりしています。
【記号づけの研究】(続)山括弧〈 〉: 微妙な解釈を示す
の最後で言及した -ing形の副詞用法(分詞構文)の with が付いた形です。
I daren’t dance, [with〈you all |watching)〉].
I daren’t dance, [with〈yo(s)are wac(v)
私は,〈君たちみんなが見ている〉ので,とてもダンスなんかできない
He died [with〈that word |unsaid)〉].
He died [with〈〈t(s)wasrd un(v)
〈その言葉を言わない〉まま,彼は死んだ
ここで with は「… と共に」という意味ではなく「…という付帯状況(あるいは理由)で」という意味で使われているわけです。
with(前置詞)の目的語が,名詞句や名詞節ではなくネクサスですので,[ ] ではなく [ ] で囲んでいます。
典型的な第5文型(O = C)は SVOC型 ですが,それ以外にも SVOC型 となるもの,
すなわち O がネクサス目的語(主語+述語)ではないものがあります [43, p.816]。
他動詞V と目的語O のつながりが強いので〈 〉を割り込ませることはできません。
force型
allow, force, permit, prompt など「人に働きかけて …させる」という意味の動詞 です。
Mother did not (allow〉me to |go swimming).
MoSer did not (llaVow〉O(s) togC(v)
母は(私が)泳ぎに行くように私に許してくれなかった
(母は泳ぎに行くのを許してくれなかった)
Father (forced〉me to |come) against my will.
FaSer (foVorced O(s)to cC(v)
父は,私の意志に反して(私が)来るように私に強制した
(父は,私がいやなのに,むりやり私を来させた)
この場合は,C は,許可や強制をした内容となっています。
order型
command, order, reqest, bet など,命令・依頼の動詞です。
The captain (ordered〉John to |shoot〉the prisoners.
The aSain (ordeVed〉 JoO(s)to siC(v)t〉the pr(o)
隊長は,ジョンに捕虜を銃殺せよと命じた
[43] 現代英文法講義 安藤貞雄著 開拓社(2005)
[45] 表現のたための 実践ロイヤル英文法 綿貫陽・マイク・ピーターセン共著(2006)
[59] 英語の文型 安藤貞雄著 開拓社(2008)
[241] 総合英語Forest 石黒昭博監修 桐原書店(第7版,2013)
[508] 大人の英文法 佐藤誠司 http://kabuse.y7.net/eigo/otona-cont.htm
. 大人の英文法125-ネクサス http://kabuse.y7.net/eigo/otona-125.htm
. 大人の英文法128-補部構造と補文標識 http://kabuse.y7.net/eigo/otona-128.htm
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