【記号づけの研究】(続2)山括弧〈 〉: ネクサス目的語を示す

ネクサス目的語なんて聞き慣れない文法用語で,ふつうの人には必要なさそうです。
しかし,勉強しておいて損はありません。
文法のためではなく,少し複雑な英文でも読んで感じられるようになるために,です。

山括弧 〈  〉を使うだけで,とても理解しやすくなります。

例文は一般的なものですので,文献 [43] から引用させていただきました。記号も付けました。

中級 〜

ネクサス nexus は「主語述語」の構造です。
単なる名詞ではありませんが,目的語となってネクサス目的語と呼ばれます。

ネクサス目的語(主語+述語)には,2種類あります。[43, p.817]

1.that, whether, for などで導かれる名詞節
.
2.名詞節
ではないが「主語述語」を持つもの
.  小節目的語の場合はミニの名詞節とでもいいましょうか)と呼ばれることがあります。

例を示します。

1.ネクサス目的語(主語+述語)名詞節であるもの

I (believe(that John is innocent).
ジョンは無実だと信じている
(that は省略可能です)

I (doubt(whether we can do any better).
これ以上うまくできるか疑問だ

I hate(for Texas to lose)).
I (hate ( for(s)as to(v)se)).
〈米〉おれ,テキサスが負けるのはいやだ

これらの名詞節は (  ) で囲みますので〈  で囲む必要はないでしょう。
ネクサス目的語という用語を持ち出す必要もなさそうです。

 

2.ネクサス目的語(主語+述語)が名詞節ではないもの

I (believeJohn to be) innocent.
S    (Vve〉  O(s) tC(=) (c)cent.
ジョンは無実だと信じている

I (saw〉 Mary enter〉 the house.
S (sVw〉 O(s) rC(v)t〉 the(o)
メアリーがその家に入るのを見た

He (saw〉 the wood burning).
S    V        O(s)was C(v)
彼には森が燃えているのが見えた

I (saw〉 my team beaten).
S   V       O(s)was C(v) 
私は自分のチームが負けるのを見た

この4つの例文は,典型的な第5文型O = C となる)ではありませんが
学習文法では第5文型(すなわち SVOC型とされています。
しかし,学問的に掘り下げると,これらの英文の他動詞

本当の目的語は,O で示された語句ではない
つまり
正しくは SVOC型 ではない

ようです。
典型的な第5文型O = C)ではなくても,SVOC型となる動詞もあります。
この記事の最後に記載しています)

これらの英文の本当の目的語と言えるネクサス目的語(主語+述語)を 〈  〉 で囲んで示します。
小節(ミニの名詞節)という感じがわかるかと思います。

I (believeJohn to be) innocent.
S (beVeve〉    (s)(=)) i (c)cent
ジョンは無実だと信じている

(sawMary enterthe house.
S   V    (s)  (v)       (o)
メアリーがその家に入るのを見た

He (sawthe wood burning).
S    V    O    (s)was  (v)
彼には森が燃えているのが見えた

(sawmy team beaten).
S   V    O   (s)was (v) 
私は自分のチームが負けるのを見た

小節(ミニの名詞節)を 〈  〉 で囲むのは,有効だと思います。
その時,書いてしまった C を削除したり,O の位置をの真下にずらしたりすることを,義務付けることはしなくてよいと考えています。

 

with の付いた分詞構文

名詞節ではない小節は,前置詞 withネクサス目的語(主語+述語)となることがあります。
前置詞の目的語」という言い方は,文法書にしばしば出てきます。
前置詞の後には,代名詞の目的格が来るので納得できるかと思います。
ジーニアス英和では「at O」のように表記したりしています

【記号づけの研究】(続)山括弧〈 〉: 微妙な解釈を示す
の最後で言及した withの付いた分詞構文です。

I daren’t dance, [withyou all watching)].
                       (s)are    (v)
君たちみんなが見てるので,とてもダンスなんかできない

He died [withthat word unsaid)].
                   (s)was (v)
その言葉を言わないまま,彼は死んだ

ここで with は「… と共に」という意味ではなく「…という付帯状況(あるいは理由)で」という意味で使われているわけです。

 

【注意】典型的な第5文型以外の SVOC型

典型的な第5文型O = C)は SVOC型 ですが,それ以外にも SVOC型 となるもの,
すなわち ネクサス目的語(主語+述語)ではないものがあります [43, p.816]。
目的語とのつながりが強い他動詞の場合のように感じられます。

allowforcepermit などの場合
「人に働きかけて …させる」という意味の動詞 です。

Mother did not (allow〉 me to go swimming).
S               V     O(s) C    (v)
母は泳ぎに行くのを許してくれなかった
(母は (私が)泳ぎに行くように〉 私に許してくれなかった)

Father (forced〉 me to come) against my will.
. S       V      O(s) C   (v)
私がいやなのにむりやり私を来させた
(父は,の意志に反して(私が)来るように〉 強制した)

この場合は,〈 〉内が意味のかたまり(C:許可や強制をした内容)となっています。

なお,O (s) としていますが,〈 〉の外にあるO(v)の主語ではなく単に意味の上での主語であり,文意の理解のために示しているだけです。
構文上の,(s)(v) との結びつきは無い,ということです。
S(v) の意味の上での主語である場合(I want to go. など)でも同様に,丁寧に S(s)と示すことがあります。

 

commandorderbeg などの場合
命令・依頼の動詞です。

The captain (orderedJohn to shootthe prisoners.
.     S        V      O(s)    C(v)        (o)
隊長は,ジョンに捕虜を銃殺せよと命じた

この場合は,構文上,(s)(v) の主語です。
準動詞の主語であるので「(文の主語ではなく)意味上の主語」という言い方をしています。
意味上の主語
・単に意味の上での主語
・構文上,準動詞の主語
のふた通りあるわけですが,記号で区別することは,していません。
〈 〉による隔離や, (s) (v) 間の距離で理解できるかと思います。

 

参考文献
[2] ジーニアス英和辞典 第5版(2015)
[43] 現代英文法講義 安藤貞雄著 開拓社(2005)
[45] 表現のたための 実践ロイヤル英文法 綿貫陽・マイク・ピーターセン共著(2006)
[59] 英語の文型 安藤貞雄著 開拓社(2008)
[241] 総合英語Forest 石黒昭博監修 桐原書店(第7版,2013)
[508] 大人の英文法 佐藤誠司 http://kabuse.y7.net/eigo/otona-cont.htm
.  大人の英文法125-ネクサス http://kabuse.y7.net/eigo/otona-125.htm
.  大人の英文法128-補部構造と補文標識 http://kabuse.y7.net/eigo/otona-128.htm

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

Itakura

〜2016 鹿児島大学水産学部教授 ,2016〜2017 水産学部特任教授(英語教育担当),2016〜 鹿児島大学名誉教授/ 〜2017 CIEC(コンピュータ利用教育学会)理事,ネットワーク委員会委員長,2018〜 CIEC 監事/ 2015〜「英語の見える化」研究会主宰/ 資格: 獣医学博士(北海道大学)/