2019年9月14日
「難文シリーズ」あらため「21世紀のふつうの英語」シリーズを始めることにました。
なお,「21世紀のふつうの英語」で取り上げる英文の構文は,現在使われているものですが,20世紀以前に使われていなかったことを保証するものではありません。
以下の記事(7月1日)の内容に変更は,ありません。アイキャッチ画像のみ変更しました。
近日中に,VOAとGoogleからのメールの英文を題材とした記事を2つ投稿します。
中級 〜
今回取り上げるのは,この記事のタイトルになっている英文です。
タイトルにできるくらい短い英文です。
1週間ほど前,Anaconda という会社から,つぎのような宣伝メールが届きました。
英文中で薄く色が付いている語句にマウスポインターを持ってくると(スマホの場合はタッチすると)意味・説明が表示されます。
Python visualization
Give your stakeholders the dashboards
they need to explore data
The right visualizations surface the insights business leaders need to make informed decisions.
Panel, a new open-source Python package from PyViz.org, enables you to easily create and share dashboards with key individuals in your organization.
Python は,今,一番人気のプログラミング言語です。
Anaconda社が提供している Anaconda を使うと,Python を使う開発環境を簡単に構築できます。
Anaconda(アナコンダ)は,Python(ニシキヘビ)に対するシャレでしょう。
さて,この中の
The right visualizations surface the insights business leaders need to make informed decisions.
を,ほぼスッと理解できる人がどれだけいるでしょうか?
宣伝メールですので,書いた人は当然,パッと見て理解できる英文として書いているわけです。
ネイティブとの感覚の違いに気づかせてくれる英文かもしれません。
英文を読む時に大事な基本に帰ります。それは,
名詞をしっかり捉える
ということです。
そのためには,
・冠詞(a, the)
・複数形の s
を,いいかげんに見ていては,ダメだということです。
「英語はつながりのことば」ですが,
そのつながりの単位を見極めることができないと始まりません。
すなわち,単位ごとの区切りを見極める,ということです。
さて,上の英文で,名詞に注意すると区切りがどこにあるでしょう?
The right visualizations | surface | the insights | business leaders | need to make | informed decisions.
(need と make が動詞であること,それらの前後の複数形が名詞句であることは容易にわかります)
これで,通常は普通名詞である surface が,冠詞もなく,複数形でもないことが見えてきます。
その後に名詞句が続きますから surface は他動詞であると考えられます。
surface を他動詞として辞書で引くと「舗装する/(潜水艦などを)浮上させる」という意味がありますが,「表面化させる[3]」という意味も見つかります。
(品詞を意識せずに辞書を引くことの意味の無さは,この記事を読んでいる方は,よくわかっているものと思います)
need to make を「make する必要がある」と解釈すると,
英文の business 以下がその前の部分とつながりません。
英文に記号をつけると,次のようになります。
The right visualizations (surface〉the insights
The right visualiSzation (suVfacethe inO
[business leaders《need) [to |make〉informed decisions]]A.
[business leaS’der〈nV’ed) [o |m(v)ake〉informe d (o)
関係代名詞節が,他動詞 need の他動性で insights にかかっていることを「《 」で示しています。
他動詞としての性質でつながりが生まれているということです。
surface と the insight も他動性でつながっています。
なお,[ [ ]]A と入れ子にしているのは,[十分な情報に基づいた決定をする ] のに必要としている ことを明示するためです(記号づけを複雑にしないように,必要な時だけ入れ子にします)。
英語はつながりのことばであり
そのつながりを生む最も大事なものが他動性
ということです。
今回は,それを理解するための基本としての語句の切れ目に注目してみました。
[1] ウィズダム英和辞典 第3版(2012)
[2]ジーニアス英和辞典 第5版(2015)
[3] ランダムハウス英語辞典 第2版(1993)