「記号づけ」の基本と,必要な基礎知識を整理しました。
英語の品詞一覧
品詞の略号は,名詞 n,形容詞 a,副詞 ad の3つを覚えれば大丈夫です。
接続詞 conj,代名詞 pron,前置詞 prep,間投詞 int も使うことがあります。
でも覚えていなくても,このページ,あるいは『大学英語の基礎』あるいは『英語の見える化』のp.3 でそのつど確認すれば大丈夫です。
品詞 | 略号 | 例 |
名詞 noun |
n | apple, luck, man |
形容詞 adjective |
a, adj | red, lucky, slow |
副詞 adverb |
ad, adv | quite, very, slowly |
自動詞 intransitive verb |
vi | are, look, walk |
他動詞 transitive verb |
vt | eat, watch, kick |
接続詞 conjunction |
conj | and, but, though |
代名詞 pronoun |
pron | he, ours, this |
冠詞 article |
art | a, an, the |
前置詞 preposition |
prep | in, through, to |
助動詞 auxiliary verb |
aux | can, may, will |
間投詞 interjection |
int | hi, oh, wow |
.
形容詞と副詞は,英語ではともに ad で始まりますが,
略号は,adj,adv では面倒かつ見にくいので,a,ad を使います。
形容詞 adjective [ ǽdʒɪktɪv ](アヂェクティブ)
副詞 adverb [ ǽdvəːrb ] (アドヴァーブ)
なので,
副詞 adverb は発音が「アド」で始まるので ad
と覚えます。
文の主要素
文の主要素 | 品詞 |
主語 Subject (S) | 名詞 |
述語動詞 Verb (V) | 動詞 |
目的語 Object (O) | 名詞 |
補語 Compliment (C) | 名詞,形容詞 |
(述語動詞は,通常は簡単に「動詞」でOKです)
文の主要素を,一番たくさん担っているのは名詞です。
原始的な会話であれば名詞だけで成り立つくらい名詞は重要です。
名詞は文の基本要素であると言えます。
しかし,ふつうに目にする英文では,
名詞に形容詞(形容詞句,形容詞節を含む)が付いて
名詞のかたまりが形成される
ので,英文を理解する上では
形容詞が付いた名詞のかたまりが
文の基本要素
となります。
(具体的には「前置詞句の記号づけ」の「形容詞句の例」をみてください)
形容詞がわからないと
文の基本要素を把握できない
ということになります。
これが「英語の見える化」で形容詞を重視する理由の1つです。
句: 2個以上の語の集まりで,1つのまとまった役目を果たす
節: 文の一部でありながら,それ自体が「主語+動詞」を持つ
目的語
目的語は,他動詞が作用する対象となるものであり,日本語の「目的」の意味はありません。
I kick a ball with my left foot.
において,他動詞 kick(蹴る)が作用する対象は,a ball(ボール)です。
他動詞には目的語に作用しようとする性質があります。
これを他動性といいます。
補語
補語は,〈 主語+動詞 〉,〈 主語+動詞+目的語 〉だけでは意味が不完全な場合にそれを補う語句です。
補語がある文では,その補語なしでは文が成り立ちません。
補語はその文の主要素の1つであり,単なる補いではありません。
He is a teacher.
の補語 a teacher が削除 されて
He is.
前置詞句の記号づけ
・前置詞句(副詞句・形容詞句)を角括弧 [ ] で囲む
・形容詞句の場合は右肩に a を付ける
前置詞句(前置詞+名詞句)は,
副詞句あるいは形容詞句になります。
[副詞句] の例
I went [to school] [with my brother] yesterday.
私は 行った 学校に 弟といっしょに 昨日(チャンク訳)
私は,昨日,弟といっしょに学校に行きました(ふつうの和訳)
チャンク訳: 語句のかたまり(チャンク)ごとに,英語の語順のまま訳したもの
副詞句は,名詞以外の語句(主に動詞)を修飾します。
(名詞を修飾するのは,次に述べる形容詞句です)
修飾する: 情報を加える,説明する
上の例では,[to school] と [with my brother] は, ともに went(行った)を修飾(説明)しています。
ところで,上のチャンク訳
「私は 行った 学校に 弟といっしょに 昨日」
は,そのままで意味がわかりますよね。
つまり,副詞句の並びは,英語の語順でも理解できます。
ですので,副詞句は,意味がわかればOKです。
[形容詞句]a の例
The students [of our school]a are [in good health]a.
.生徒たちは 私たちの学校の です 良い健康状態(チャンク訳)
.私たちの学校の 生徒たちは 健康です(ふつうの和訳)
形容詞句は,2とおりの用法があります。
❶ 直前の名詞を修飾する限定用法
. 上の [of our school]a は,その前の students を修飾(説明)しています。
限定: どんな種類のものなのか限定すること
❷ 補語として主語(名詞)の状態を説明する叙述用法(じょじゅつ ようほう)
. 上の [in good health]a は the students の状態を説明しています。
叙述: … である,と述べること
特に注目したいのは ❶ です。
the students [of our school]a
は,英語での語順
「生徒たちは 私たちの学校の」
日本語とは逆の語順になっているからです。
「文の主要素」でも形容詞の重要性に言及しましたが,
the students [of our school]a
私たちの学校の生徒たち
が1つの名詞のかたまりになっています。
この英文では,これが主語(のかたまり)ですから,
これを把握せずしてこの英文の理解は,ありえません。
(簡単な例で示しましたが,複雑な英文でも名詞のかたまりをごく自然に把握できることが望まれます)
「名詞+形容詞句」の名詞のかたまりを把握する
という英語学習の大事なポイントが見えてきましたね。
ネイティブもそのようにしています。
日本人も日本語を読むときに1文字ずつ読むようなことは,していませんよね?
英語の代表的なチャンクは前置詞句です。それを [ ] で囲みます。
英語は前置詞句が多用される言語です。
まず前置詞句に [ ] を付けることで,英語がとても読みやすくなります。
学習の効率も上がります。
日本語では,「机の上の 鉛筆」ですから,逆の語順になりますね。
これに返り読みで対応しようとすると,とても疲れます。
さらに,リスニングでは返り読みなんかできません。
逆の語順に慣れることは,日本人の英語学習で必須です。
形容詞句を記号で明示し,形容詞句が直前の名詞に後ろからひっついて意味を加えていることを把握します。
その上で音読することによって,自然に慣れていきます。
英語を直読直解する,ほんとうの英語学習 がそこから始まります。
動詞と目的語の記号づけ
・動詞を丸で囲む
・他動詞の場合は他動性を「>」で示し,目的語に下線を引く(間接目的語は二重下線)
他動性については「文の主要素」の目的語のところを見てください。
第1文型の例
動詞(自動詞)を丸(楕円)で囲んでいます。
第3文型の例
他動詞 love の他動性を > で示し,それを受けて目的語に下線を引いています。
(動詞と目的語は記号で示されるので,V と O は,あった方がわかりやすい時にだけ書けばOKです)
英語での語順「愛している 彼女の子どもたちを」は,限定用法の形容詞句の場合と同様に,日本語とは逆の語順になっています。
他動詞の他動性を理解し,他動詞が目的語に作用する感覚を掴むことが大事です。
第4文型の例
間接目的語(Indirect Object),直接目的語(Direct Object)の,IO ・ DO は,通常は書かなくてもOKです。
記号(間接目的語の二重下線と,直接目的語の下線)で示すことを基本とします。
英語は,歴史的経緯で簡素化された言語です。
おかげで,ドイツ語のような語尾変化があまりな無くて楽なのですが,そのかわりに,この第4文型のように語順だけで「〜に」「〜を」という意味を表したりします。
「英語は語順の言葉」とも言われます。
主語と補語の記号づけ
・第2文型を S = C で示す
・第5文型は O = C で示す
具体的には,
・主語の下に S と書く
・補語の下に C と書く
・第2文型の動詞を丸で囲み,さらにその下に = と書く
・典型的な第5文型では O の横に = と書く
第2文型の記号づけでは,S,C,= は必ず書いて
S = C
であることを示します。
(一般動詞の V と目的語の O は,あった方がわかりやすい時にだけ書けばOKです)
典型的な第5文型では,
O = C
となります。
第5文型は(一番難しいので)第5文型であることをしっかり意識するために,SVOC すべてを書くのが良いでしょう。
(O = C とならない第5文型については,初級編・中級編で扱います)
第2文型の例
補語が複数語から成るときは,主となる単語の真下に C と書きます。
補語が形容詞の場合も S = C とします。
典型的な第5文型の例
補語(目的語の補語なので「目的格補語」と呼ばれます)が形容詞の場合も O = C です。
第4文型と同様にこの第5文型でも,語順だけで上のような意味を表すことができます。
「英語は語順の言葉」であることがよくわかります。
英語は簡単過ぎて難しい
と言えるかもしれません。
「英語の見える化」は,そのような日本人が苦手なところを記号で明示して学習を進めます。
「S = C」もその1つです。
先生の指導のもとで,記号とチャンク訳を付けながら学んでいけば,日本人の弱点を極めて効率よく克服できます。
助動詞の記号づけ
助動詞は動詞といっしょに丸で囲みます
否定の場合は,not の部分は囲みません。
疑問文は,助動詞と動詞を次のように囲みます。
完了形でも助動詞(have)と動詞(過去分詞)を丸で囲みます。
進行形でも助動詞(be)と動詞(現在分詞)を丸で囲みます。