「今週の英語News」20170925 (付録:過去分詞の腕試し)

9月25日 これが未来の潜水艦!?

初級
南日本新聞9月25日朝刊「こども」のページから,英文2つを引用しています。和訳や語句の説明は新聞記事をご覧ください。

イギリス海軍が発表した未来の潜水艦について紹介する記事です。母船と探査船の写真も掲載されています。

さて,「こども」のページの英文ですが,

Future submarines may look like big rays and eels, the British navy said recently.  Young scientists and engineers got the idea in a project.

like が前置詞であることがわかれば,易しい構文ですね。

「英語の見える化」の記号と,チャンク訳を付けると,



[like … ] の右肩に a を付けて形容詞句にしていますが,これは,ジーニアス英和辞典(第5版)の

この like句を補語に取る動詞は be, feel, look, seem, smell, sound, taste など

という記述に従ったものです。

リーダーズ英和辞典(第3版)では,lookの項に,

[補語または副詞句[節]を伴って]

という記述があり,like句も副詞句として扱っているように読めます。like句 を ‘as if’ で導かれる副詞節に書き換えることもできますね。

学習目的は英語を英語として理解することですので,微妙なこともある,で良いのではないでしょうか。

中級

付録:過去分詞の腕試し

この潜水艦については,イギリスのオンライン新聞に詳しい記事があリます。

・BBC Newsの記事はこちら

インディペンデント紙記事はこちら

デイリー・テレグラフWebサイトの記事はこちら

このインディペンデント紙の記事を見てみると,
イギリス海軍が,50年後に(in 50 years’ time)水面下の戦争がどのようなものになるかを示すために,海洋生物を真似た未来の潜水艦をデザインしたことを紹介した後,その次のパラグラフで具体的に,

The concepts unveiled include a crewed mothership shaped like a manta ray, unmanned eel-like vessels equipped with sensor pods that dissolve on demand to avoid enemy detection, and fish-shaped torpedoes sent to swarm against enemy targets.

と書かれていました。

この(長い)1つの英文に,ed形が6つ,あと sent もあります。
過去分詞の理解を確かめるのによい英文だと感じたのでお借りしました。

まず,主な語句の意味です。自動詞・他動詞がある単語も,文中での使われ方しか載せていません。

unveil : vt. 明らかにする,公にする/…のベール[覆い]を取る
crew : vt. (船の)の乗組員となる
equip : vt. 装備する
pod : n.  (燃料・荷物などの)格納部・格納器
dissolve : vi. 溶ける/崩壊する
torpedo : n. 魚雷
swarm : vi. 群れをなして動く

これくらいの単語の意味がわかれば,さて,どうでしょうか?上の長い英文を読んでみてください。英語で新しい情報を得るためには,「だいたいわかる」は,ほとんど価値がありません。
誤解はマイナスになります。
英語はとても論理的な言語ですので,正確に把握したいところです。

では,記号とチャンク訳を示します。



ピンクの下線: 目的語
[副詞句][形容詞句]a: 前置詞句
[副詞節][形容詞節]A: 分詞句,不定詞句,そして動名詞句も節に準ずるものとして同じ記号を用いています。
準動詞は水色にして本動詞と区別しています。


最初の unveiled が曲者でしょうか。でも次に動詞include があるので,unveiled が(単独でも)後位修飾となる過去分詞(「一時的な状態」を表す)であることがわかります。

他動詞includeの記号には他動性を示す「」が付いており,目的語が3つあることが下線で明示されています。include A, B, and C の形ですね。

A,B,C それぞれには,過去分詞の「形容詞節」が付いていますが,直前の名詞を修飾し,その名詞にひっついて,1つ大きな名詞句を形成していると見れば,構文的には簡単になります。
なお,過去分詞の前の ‘which is(are)’ が省略されている形であるという理解は必要でしょう。

ただ,2番目の目的語では,さらに thatで導かれた関係節が連なっています。
このように,英語では,後位修飾が連なることがよくあるので,日本人学習者は,形容詞句とその発展形である形容詞節の「後位修飾」に慣れ切ることが必須です。
あと,「他動詞+目的語」にも慣れれば,「返り読み」からの脱却が可能となります。

なお,shaped のチャンク訳を「形作られた」としていますが,これは,次の ‘like a manta ray’ を副詞句らしく「…ように」とするためです。
「…のような形の」では「ような」が名詞の「形」にかかって英語での形容詞句のように感じられてしまうので,それを避けるためです。

今回は,以上です。



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板倉

〜2016 鹿児島大学水産学部教授 ,2016〜2017 水産学部特任教授(英語教育担当),2016〜 鹿児島大学名誉教授/ 〜2017 CIEC(コンピュータ利用教育学会)理事,ネットワーク委員会委員長,2018〜 CIEC 監事/ 2015〜「英語の見える化」研究会主宰/ 資格: 獣医学博士(北海道大学)/