. Most Powerful Passport
南日本新聞2018年10月22日朝刊「こども」のページの英文を引用しています。
日本人がビザなしで(パスポートだけで)受け入れてもらえる国や地域の数が190となり,今や日本が世界のトップであるという記事です。
2位はシンガポール(189),3位はドイツ・フランス・韓国(188)だそうです。
初級 〜
The Japanese passport recently became ①the world’s most powerful. If you have one, ②you can travel to 190 countries and regions without a visa. “This shows Japanese visitors are welcomed around the world,” the government said.
passport [ pǽspɔ̀ːrt | pɑ́ːs- ] : n. パスポート, 旅券
region [ ríːdʒ(ə)n ] : n. (広大な)地域, 地方, 地帯
visa [ víːzə, ⦅米⦆-sə ] : n. ビザ, 査証, (旅券などの)裏書き
welcome [ wélkəm ] : vt. 〈人など〉を歓迎する
① the world’s most powerful
さて,この world’s の使い方をどう思われますか?
② you
この you の意味は?
文の最後が a visa と単数になっていますね。
記号づけ・チャンク訳:
① the world’s most powerful
world’s は所有格ですから,その後に名詞がほしいところですが,形容詞で終わっています。
その意味「(副詞的に)世界中で」は,理解できます。
さて,所有格のこの用法がどの程度一般的なのか,コーパスで見てみました。
最近できた,140億words という巨大なデータベース
iWeb: The Intelligent Web-based Corpus (2017)
で,powerful で文が終わっている,いないで調べたところ,
the world’s most powerful.: 15例
the world’s most powerful : 3311例
という結果でした。
(コーパスの検索窓に入力する時,「‘s」や「.」の前には空白を入れる必要があります。
. powerful で終わっていない場合,その次が名詞かどうかを自動でたしかめる方法はわかりませんが,ざっと見たところでは名詞がきていました)
所有格が(名詞ではなく)最上級の形容詞を修飾(限定)する形は,私としてはまだ少ない,という感覚ですが,今後,ふつうになるのかもしれませんね。
② you
これが you の総称用法(話し手や相手を含めた一般の人々をさし, 訳さなくてもよいことが多い)であることは,おわかりかと思います。
「総称」ということから複数扱いではないか,と思われる方もいるかもしれませんが,
総称の you = anyone, including you and me [14 p.314]
. one (= a person) と同じ意味で,one よりくだけた,より具体的な言い方
ですので,単数ですね。
anyoneで「だれでも」という感覚です。
[1] ウィズダム英和辞典 第3版(2012)
[2]ジーニアス英和辞典 第5版(2015)
[14] コンサイス英文法辞典 安井稔編 三省堂(1996)
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