君たちは,どう読む? 名著のマンガ版がベストセラー
初級
南日本新聞2017年12月4日朝刊「こども」のページから,英文2つを引用しています。和訳や内容の説明は新聞記事をご覧ください。吉野源三郎さんの原作がマンガ本になってよく売れている,というお話です。
The comic version of a 1937 classic book for young readers is selling well. “How Do You Live?” is about a junior high school boy’s mental growth through communications with his uncle.
version : n. 版
classic : a. (文学・芸術などが)最高級の,見事な/典型的な/(古代ギリシャ・ローマの)古典の
mental : a. 精神の,心の
前置詞句が5つもありますね。しかも,長いのもあります。このような説明文では形容詞句が多くなりがちです。
”記号づけとチャンク訳の解答を見る”

”解答を隠す”
5つの前置詞句がすべて形容詞句です。
about a junior high school boy’s mental growth through communications with his uncle
の全体が,“How Do You Live?” の内容ですので,次のように記号を付けることもできます。
[about a junior high school boy’s mental growth [through communications]a [with his uncle]a]a
ただ,このように括弧を「入れ子」にすると複雑になるので,そうしないと意味が取り難い場合を除いて,括弧はできるだけ「入れ子」にしないことにしています。
形容詞句が鎖のように連続して繋がるのが英語の特徴の1つです。日本語では,全く逆順に後ろから訳すことになりますので,これに慣れない限り英語をスラスラ読んだり,聞いて理解するのは無理でしょう。
中間構文
中級
さて,今回の本題に入ります。
動詞 sell(通常は他動詞) の使われ方がいつもと違うことにお気づきになりましたでしょうか?
sell,drive,read のような,もともと他動詞で目的語を取る動詞が,その目的語が主語となって自動詞として用いられることがあります。例をあげます。[1],[2] は文献番号です。
Ours are selling well. [1]
私どもの製品はよく売れています
American cars are not selling very well these days.[1]
アメリカ車は最近あまりよく売れていない
This car drives easily.[1]
この車は運転しやすい
次の例は,単に目的語が書かれていないので自動詞とされるもの
(主語が車ではない)
Can you drive?[1]
車の運転ができますか
This paper reads easily.[1]
この論文は読みやすい
Her letter reads like a poem.[1]
彼女の手紙は詩のように読める
このような構文では,目的語が主語になるという点では受動構文と同じですが,受動態ではなく能動構文なので,能動構文と受動構文の中間ということで「中間構文」あるいは「能動受動構文」と呼ばれます。[2]
同様に,目的語が主語になる動詞は,実は,皆さんはたくさんご存知だと思います。
He stopped the car.
The car stopped.
He opened the door.
The door opened.
これらの例と「中間構文」との違いは,
中間構文は主語の特性を表すのが唯一の機能である [2]
ということがあります。上の sell,drive,read の例文をもう一度見ていただくとお分かりになるかと思います。
open,stop なども,上の例のような1回きりの過去の事象ではなく,主語の特性を表すこともあります。
The door opens easily. [2]
ただ,通常の使われ方とちょっと違った感覚がありますね。
今回は以上です。
参考文献
[1] 『ジーニアス英和辞典第5版』 (2014)[2] 『謎解きの英文法 動詞』久野暲・高見健一 (2017)
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