come と go の使い分け(補足:get や be動詞 を使った方が良い場合)

この記事には改訂版(2018年5月5日)

【改訂版】come と go の使い分け(補足:get や be動詞 を使った方が良い場合)

があります。


日本語の「来る・行く」と英語の come / go は使い方が少し違うことはご存知かと思います。

鹿児島の人なら,鹿児島弁は英語とほぼ同じなのでラッキー,と思っているかもしれませんね。
「今,そっちに行くよ」を「いま来るからね」のように言います。

実は,英語講座の生徒さんから bringtake の使い分けについて質問が出たのですが,bringtake の使い分けは,comego の使い分けに呼応する [80] ので,まずは comego について整理してみます。
網羅的かつ簡潔に記述するために表記法を工夫してみました。
読者のご意見をいただいて bringtake の記事に活かしたいと思います。


初級 〜

まず,ウィズダム英和 [1] には次のような解説があります。

come と go の視点
come は発話の時点または発話の中で話題になっている時点において, 話し手・聞き手話題になっている場所に近づいていくことを表し, 必ずしも日本語の「来る」と一致しない.  go が話し手・聞き手の視点から離れていくことを表すため, 否定的態度や疎外感を暗示することが多いのに対し, come は逆に話し手・聞き手の視点に近づいていくことを表すため肯定的態度や親近感を暗示することが多い.

ミントン先生の著 [80] に具体的な解説がありますので,それを参考にさせていただき,簡潔に整理したいと思います。詳しくは [80 pp.116-130] をご覧ください。


状況 113 のための例文を最後にまとめて載せています。単文の例文は,状況説明が無いとスッと理解できないことが多いので,少し話の筋を付けた例文を作成しました。この連続例文を通して読んでいただくだけでもご自分の理解を確認できるかと思います。

話者と聞き手が同じところにいる場合の移動

青字:移動する人
□:どこか(第3者の居場所を含む。自宅,自宅以外の区別なし

移動の話題は,現在・過去・未来,いろいろあります。

1. 話者 <ーー come ーー
.   聞き手

2. 話者
.   聞き手<ーー come ーー

3. 話者が ーー go ーー>
.   聞き手

4. 話者
.   聞き手が ーー go ーー>

5. 話者聞き手が ーー go ーー>

6. 話者・聞き手 <ーー come ーー □ 第3者
.

話者と聞き手が異なる場所にいる場合の移動

電話などで話しているか,(現在は同じ場所にいて)過去や未来の移動について話しているという状況です。

7. 話者が ーー come ーー> 聞き手 (話者が聞き手の立場に立って)

“Are you ready?”   “I’m coming.”
.  用意はいい?        (うんいいよ) 今 (そっちに) 行くよ

8. 話者 <ーー come ーー 聞き手


次の 状況 91011 は,それぞれ上の 346 と変わらないので省略可能ですが,12 を導くために載せています。

9. 話者が ーー go ーー>
.     ︙(離れた場所に)
.     聞き手

10. 話者
.      ︙
.     聞き手が ーー go ーー>

11. 話者 <ーー come ーー □ 第3者
.       ︙
.       聞き手


12. 話者 (話者が聞き手の立場に立って)
.       ︙
.       聞き手 <ーー come ーー □ 第3者

Is he coming to your party? (未来なので話者と聞き手が異なる場所にいる
. 彼はあなたのパーティに来るの
この場合,日本語でも相手の立場に立って「来る」を使うように見えますが,
話者自身が聞き手の方に移動するのに「行く」を使うのに,第3者の場合だけは,
というのはヘンですね。
話者と聞き手の外に第3者を置いた結果,相対的に話者と聞き手の距離が
狭まって「聞き手(+話者)」の方に「来る」と表現していると見ることも
できそうです。

I don’t think he will come to your party.
.  私は,彼はあなたのパーテイに来ないと思うわ
日本語では,彼の立場に立って「行かないと思うわ」と言うこともあるでしょう。
英語でもこのような気持ちの違いで go になることがあるのか興味が持たれます。

your party では聞き手は主人公なので「your party = 聞き手」です。

聞き手が(主催ではないが)行くことをきめている場合は「the party ≒ 聞き手」となり,同様に come が使われると考えられます。
「 ≒ 聞き手」の場合を 12 の派生型 12 – a としておきましょう。


中級
 〜

話者が行くことを決めている場所への移動

上の 状況 712 では「話者が聞き手の立場に立って」come を使うと考えられますが,
話者が行くことを決めている場所は,気持ちの上では「話者がいるところ」だと言えるでしょう。
話者と聞き手は同じ場所でも,電話で話していてもかまいません。

13. 話者
.     聞き手ーー come ーー> 話者が行くことを決めている場所

.     Will you come to the party on Sunday?   のように使えます。
   Will you go … だと 4 になり,「話者は行くことを決めていない」意味になります。
.     Shall we go … だと 5 になり,「話者も聞き手も決めていない」意味になります。

「移動先 ≒ 話者」と捉え,状況 1 の派生型 1- a とすることもできるでしょう。


[1] には次のような記載があります。

I’m going to Ginger’s house tonight.  Would you like to come with me?
  今晩ジンジャーの家に行くのだけれど,               一緒に行くかい
.
前半はジンジャーの家に行く移動自体についてふれるので go を使うが, 後半は話し手の移動に聞き手が加わることについて述べているので come を用いる

話者と共に移動し,話者といっしょに着くので,「移動過程+移動先 ≒ 話者がいるところ」と捉え,状況 1 の派生型 1- b とすることもできるでしょう。


ジーニアス英和 [2] には次のような記載があります。平叙文の場合です。

 I’ll come to the party.
.  パーティーに出席します
聞き手の主催するまたは出席予定のパーティーについて言う発話で,
go では関係のない相手に述べていることになる

この場合は「the party ≒ 聞き手」なので,状況 7 の派生型 7- a とすることができます。


【2018年4月2日追記】

状況 12 で,日本語の「来る」の使われ方について言及しましたが,その補足です。
聞き手が出席予定のパーティ(飲み会)についての次の会話をみてください。

A子: 金曜日に飲み会があるのよ。
B子: 私も行こうかな。
.           ○○子も行くと思うからさそってみるわ。
A子: 楽しい会になりそうね。
B子: ところで,その飲み会,✕✕子も来るの?

この会話で,B子は,✕✕子とはあまり仲がよくないことが推察できます。
この「来る」は,A子の立場に立っての表現というより,A子とB子(そして○○子)のつながりから離れたところに✕✕子を置く効果があるようです。

日本語の「来る」は,人と人とのつながりを微妙に表現しているようです。
.

連続例文

初級 〜

私(板倉)をモデルにして話がつながった例文を作ってみました。

1. 私は(話者)1980年に,札幌から鹿児島に来ました。それ以来,鹿児島に住んでいます。
.     I came to Kagoshima in 1980.

2. 鹿児島の英語講座の生徒さんが私(聞き手)に聞きます。
.     When did you come to Kagoshima?

3. 私(話者)は,札幌に帰ることはほとんどありません。
.     I almost never go back to Sapporo.

4. ごくたまに札幌に帰って知人に会うと,彼は私(聞き手)に聞きます。
.     When did you go to Kagoshima?

5. 私(話者は家内(聞き手)に「明日,福岡に遊びに行かない?」と提案します。
.     Why don’t we go to Fukuoka tomorrow?

6. 家内が「明日は友達のみどりさん(第3者)が家に遊びに来るかもしれないわ。」と言います。
.     My friend, Midori, might come tomorrow.

7. みどりさん(話者は,電話で家内に「明日,遊びに行っていい?」と確認します。
 みどりさんは,家内(聞き手)の立場に立って come を使います。
.     Can I come over tomorrow?

8. 家内は,みどりさん(聞き手)に「お昼ころに来れる?」と聞きます。
.     Sure.  Could you come around noon.?

91011 は省略

12. みどりさんは,私(第3者)が帰宅する時間が気になって家内(聞き手)に聞きます。
.     みどりさんは,家内(聞き手)の立場に立って come を使います。
.     When will your husband come home tomorrow afternoon?

.     なお,「帰宅」だから come というわけでは,ありません。

3. 職場で仕事が終わって,まだ仕事を続けている同僚に言うときは,
   I’m going home now.

7. 自宅にいる奥さんに電話で言うときは,
.     I’m coming home.

.         となります。

中級 〜

13. 次の日の午後,みどりさんに会った家内は,みどりさん(聞き手)をコンサートに誘います。
.       Will you come to the concert by Hamada Shogo?

    家内は,行くことに決めているわけです。
    気持ちの上では,もうコンサート会場でロックに合わせて踊っているかもしれません。
.

補足: get や be動詞 を使った方が良い場合

OALD [31] での come の項の最初の記述は,

to move to or towards a person or place

go では

to move or travel from one place to another

となっています。
ここで,move(移動する)となっていることに注意してください。
日本語の「来る・行く」は,「到着する・出発する」という意味合いで使われることが多いと思います。

[80 pp.125-130] に「到着や出発の意味で comego を用いるのは,要注意です。出発と到着のどちらを指しているのかあいまいになるからです。」とあります。
「移動する」という意味なのであれば,それは当然のことです。


ミントン先生によれば,

What time did you go home last night?

は,普通は「何時に出たのか?」だが,「何時に家に着いたのか?」と聞かれている可能性も排除できないとのことです。また,

What time did you come home last night?

は,「何時に帰宅したのか?」ととるだろうが,「何時にオフィスを出たのか?」という解釈もできなくはない,とういことです。

それで,何時に帰宅したか?を尋ねる場合は,

What time did you get home?
What time were you home?

などを使うのが良いようです。
このように,到着時間を尋ねるときは,come よりも「be動詞+場所を表す副詞」を使う方が普通であるとのことです。

出発する」を英辞郎 [11] で引くと,get goinghead out がみつかります。最近よく使われている表現を探すとき,また,熟語を直接引くとき,英辞郎は便利です。


関連して,「大阪へはどうやって行くのがベストですか?」と聞く場合,日本人は go を使いそうですが,ネイティブスピーカーはたいてい get を使って

What’s the best way to get to Osaka?

などと言うようです。
この場合の「行く」は「行き着く」という意味合いで使われていますが,次の例(AさんとBさんの会話)も見てください。

Aさん:「12時までに行く約束だ。」     (「着く」という意味)
Bさん:「じゃ,そろそろ行くか。」(「出発する」という意味)

日本人には「出発する」なのか「着くか」なのかの判断は容易なようです。

私の仮説は,

英語は状態(あるいは継続的な動作)を述べることが多く,
日本語は(ほぼ一瞬の)動作を述べることが多い

例えば

sit :  「座る」というより「座っている」という意味を頭に入れておくべき
forget :  「忘れる」というより「思い出せない」という意味が大事

ですが,またの機会に記事にしたいと思っています。
今回は,come / go も「到着する」「出発する」ではなく「移動する」という意味合いを理解しておくべきだという勉強になりました。
. .

参考文献

[1] ウィズダム英和辞典 第3版(2012)
[2] ジーニアス英和辞典 第5版(2015)
[11] 英辞郎 on the WEB
[31] オックスフォード現代英英辞典 第9版(2015年)
[80] 日本人の英語表現 T.D.ミントン著 研究社(2012年)



 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

Itakura

〜2016 鹿児島大学水産学部教授 ,2016〜2017 水産学部特任教授(英語教育担当),2016〜 鹿児島大学名誉教授/ 〜2017 CIEC(コンピュータ利用教育学会)理事,ネットワーク委員会委員長,2018〜 CIEC 監事/ 2015〜「英語の見える化」研究会主宰/ 資格: 獣医学博士(北海道大学)/