. With Ice Cream アイスで笑顔広げる
南日本新聞2019年2月25日朝刊「こども」のページの英文を引用しています。
試合での気迫ある表情から「野獣」のあだ名で親しまれた柔道の松本薫選手が,現役時代に開発に関わった健康志向のアイスクリーム作りに転身したことについての記事です。
初級 中級 〜
引用した英文中で薄く色が付いている語句にマウスポインターを持ってくると(スマホの場合はタッチすると)意味・説明が表示されます。
Olympic judo medalist Kaori Matsumoto recently left the sport and started a new business ①making ice cream. “I sent smiles to people through judo, and now I want to spread smiles with ice cream,” she said.
① making :
ちょっと難しいですが,現在分詞?それとも動名詞?
記号づけ・チャンク訳:
Olympic judo medalist Kaori Matsumoto
Olympic judo medalist KaorS1+2(s)
オリンピック柔道メダリスト 松本薫が
recently (left〉the sport and (started〉
recently(leV1〉tihspO1and (ssstV2
最近 離れた 競技を そして 始めた
a new business (|making〉ice cream).
a new buO2ess |m (v)ng〉ic cr(o)
. 新しい仕事を アイスクリームを作る
“I (sent〉smiles [to people] [through judo],
.S’(sV’t〉smO’
私は 送った 笑顔を 人々に 柔道で
and now I (want〉(to |spread〉smiles
and noiwS’(wV’t〉O’(top(v)adMss(o)
そして今 私は 望む 広げることを 笑顔を
[with ice cream]),” she〈said).
[with ice cream]),” sSe sisV
アイスクリームで 彼女は言った
① making :
a new business(の内容)= making ice cream
なので making は business と同格の動名詞(-ing形)です。
中級 〜
「-ing形」の名詞用法(動名詞)
動名詞と現在分詞の区別について,Huddleston[91 p.1222]は次のように言っています。
(イギリスなどの文法書を引用するのは,信頼度を示すためなので,無理に読んで理解しようとしないでください)
‘gerund’ and ‘present participle’ have different historical sources, whereas there is only one source for infinitivals. In a grammar aimed at describing the present state of the language, a syntactic distinction based on historical factors in this way cannot be justified.
動名詞と現在分詞は出生の歴史は異なるが,言語の現状を記述する文法において,歴史的なことに基づいて区別するようなことは,正当化できない。
かなり強い(信念のある)言い方のように感じられます。
ということで[91]では,動名詞と現在分詞を1つにまとめて gerund-participle と呼んでいます。
最近の海外の文法書では,同様の考えで,‘-ing form’ がよく使われるようで,日本でも「 -ing形」を推奨している記述をよく見かけるようになっています。
[91 p.83]には ‘-ing form’ は(過去分詞の ‘-en form’ という呼び方も),覚えるのにはよいが,他の言語での用語との関連性が無いので適当ではない,と書かれています。
しかし,文法研究が目的ではないので,覚えやすさを取って「-ing形」を採用したいと思います。
(読むときは「いんぐけい」でけっこうです)
「-en形」の方は,-en が過去形では使われないので過去分詞を表すのに使われるわけですが,「-ing形」ほどのニーズはありません。初心者に分かりづらいので,上級課題の中で使うことを考えたいと思います。
前置きが長くなりましたが,
ここで,「-ing形の名詞用法」(動名詞)について整理しておきます。
「-ing形 の名詞用法」(動名詞)とするもの
1.文の主語,(他動詞,前置詞の)目的語,(名詞的な意味の)補語
. これは,ごく一般的な用法です。
(|Telling〉lies) is wrong. [43]
S|T(s)g>〉l(o)s =wirC
うそを言うことはよくない
He (is interested) [in (|learning〉English)].
Se is sinVrested [in (|le(a(v)ing〉>E(o)
彼は英語を学ぶことに興味をもっている
My hobby is (|collecting〉old stamps ).[43]
My hoSby = C|coll(v)ting〉old s(o)
私の趣味は,古い切手を集めることです
We call that (|asking) [for trouble]). [43]
.Se cV O = Cas(v)
それは自業自得というものだ
そういうのを(自分で)やっかいな事を求めることだというんだ
2.形式主語の真主語
「-ing形の名詞用法」が真主語である場合は,
形式主語の補語は,難易・無意味を示す形容詞(easy, difficult, no use, no good, crazy)あるいは名詞(a nuisance)に限られる[43 p.31]
([91 p.1188]には形容詞silly の例あり)
It is difficult (|making〉new friends).[43]
S = C
It was so easy (|being) [with him]). [43]
S = C
彼といっしょにいるのは,とても気楽だった
3.前の名詞と同格であるもの
We can offer you a job (|cleaning〉cars). [43]
洗車の仕事ならありますよ
([43]には job の例があるだけですが,business も同様と考えられます)
「-ing形の副詞用法」(現在分詞),「-ing形の形容詞用法」(現在分詞)とするものについても,簡単にまとめておきます。
「-ing形の副詞用法」(現在分詞)とするもの
1.分詞構文の -ing形
2.「前置詞+ 動名詞」から前置詞が省れてできた慣用句
歴史的には「前置詞+ 動名詞」の副詞句として用いられていたものから前置詞が省かれてできた慣用句(-ing形)は,現在分詞(副詞用法)とみなされる[45 p.182]ようですが,
現在分詞という呼称は用いず,「-ing形の副詞用法」と呼ぶことにします。
He is busy [↓inが省かれて 「-ing 形の副詞用法」に
He is busy [|preparing) [for the exam]].
彼は試験の準備に忙しい
(現在分詞の副詞用法だとすると「分詞構文」ということになります]
「-ing形の形容詞用法」(現在分詞)とするもの
1.名詞の前後について修飾するもの
辞書的に形容詞となっているもの(interesting など)は,除きます。
また,文の補語となっているものも通常は形容詞として扱われるようです。
[1]ウィズダム英和辞典 第3版(2012)
[2]ジーニアス英和辞典 第5版(2015)
[3]ランダムハウス英語辞典 第2版(1993)
[43]現代英文法講義 安藤貞雄著 開拓社(2005)
[45]表現のたための 実践ロイヤル英文法 綿貫陽・マイク・ピーターセン共著 旺文社(2006)
[91]The Cambridge Grammar of the English Language Rodney Huddleston・Geoffrey K. Pullum 著 Cambridge University Press(2002)Kindle 版