「もっと成長できる」 二刀流,アメリカでもかがやけ!
初級 〜 (このレベル表示については,記事の最後に説明があります)
大谷翔平選手に関する記事です。
南日本新聞2018年1月8日朝刊「こども」のページの英文を引用しています。
新聞記事には,語句の意味,和訳,内容の説明があり,QRコードで音声(通常速度,ゆっくり速度)のダウンロードもできます。週に一度の親子の英語談義などに活用できそうですね。
この新聞記事は,共同通信社によって配信されて全国各地の地方紙に掲載されているもののようです。
Pro baseball star Shohei Ohtani said goodbye to his Japanese fans in late December before he moves to the Los Angeles Angels. He said he can expect to grow more in the majors.
goodbye(米ではGood-bye も) : interj.(間投詞) さようなら
. God be with you. (古くは God be with ye.)【祈願文】
. (別れたあとも)神があなたと共にいますように
. が短縮されて
. god-b-ye
. となり,Good morning などからの類推で god が good に変化し,
. goodbye
. となったようです
.
Los Angeles : [(米) lɔːs ǽndʒələs, lɑːs- | (英) lɒsǽndʒəlìːz] n. ロサンゼルス
. 発音は「サ」にアクセントがあります
. angel でも a にアクセントがありますが「エィ」と発音されます
. Los(ロス)とは略さないので注意!
before は,その後が him ではなくて he なので,前置詞ではなく接続詞であることがわかります。
He said の後も he なので,heの前に接続詞 that が省略されていることがわかります。
to grow が to不定詞であることはおわかりになるかと思いますが,何用法でしょうか?
”記号づけとチャンク訳の解答を見る”
”解答を隠す”
to grow … は,to不定詞の名詞的用法 であることを示すために,名詞節として大きな丸括弧で挟みます。
to不定詞を目的語にとる動詞(expect, want, like, try, begin, start など)は,出会った時に辞書(ジーニアス英和辞典がわかりやすいかもしれません)で確認して,覚えていくといいですね。
中級 〜
ところで,move が現在形になっています。この新聞記事の(日本でインタビューを受けている)時点で,大谷選手が moveするのはまだ先のことですが,will move とはなっていません。文法が好きな方でしたら
時や条件を示す副詞節中では,現在時制が使われる
ということはご存知かもしれません。例としては次のようなものです。
Phone me as soon as he arrives. [1]
彼が来たらすぐ,お電話ください
I will return it when I have finished. [1](現在完了も現在時制)
済んだらお返しします
上級
ただ,なぜそうなのかの説明は簡単ではないようです。[1]の pp.86-87 に詳しい説明があります。私が尊敬する安藤先生のお考えは(少し略しますが),
このような節は,時間の区別が関与しない単なる命題を表しているので,時間に関して中立的な現在時制が選ばれている
ということのようです。「単なる命題」を私なりに解釈しますと,「具体的な動作ではなく,想定される出来事をやや抽象的に述べたもの」とでも言えましょうか。
before節の場合,今回の例のように現在時制が使われるのが普通ですが,
Pigs fly before he’ll become a mathematician. (Qirk et al. 1985) [1] 彼が数学者になる前にブタが空を飛ぶだろうよ(なれるハズがないと思っている)
の例のように,「やがて生じるだろう」,「決して生じないだろう」というような予想が話し手にある場合は <予言・予測> の will が使われることも [1] には記載されています。「単なる命題」ではなく,(否定するにしても)具体的な感じになるからでしょう。
補足: 祈願文と命令文
goodbye の説明に「祈願文」が出てきましたが,「命令文」とどう違うのでしょうか?この機会に整理しておきましょう。
まず,よく見る命令文ですが,聞き手に向かって発するものですから,主語は(通常は省略されますが)you です。
Be quiet! (通常の命令文)
You be quiet! (強い苛立ちをこめている)
次の例では,形式的には3人称ですが,聞き手はその場面に存在しているので,心理的には2人称に等しい [1] ということです。
Somebody open that window.
誰か窓を開けなさい
次に祈願文ですが,[1] p.850 に記載されています。
God be with you. (この形が,主語のある命令文と同じ形です)
May god be with you.
が通常の形ですが
Long live the queen! (女王万歳!)[1] Long may he live! (彼が長生きされますように!)[1]
のようなものもあります。ただ,祈願文は,かしこまった言い方ですので,決まり文句を覚えておくくらいでいいのかもしれません。例えば,
(God) bless you!
・お大事に(くしゃみをした人に言う決まり文句。Thanks! と答える)
・神のご加護がありますように
・ありがとう
上記の祈願文は,3人称ですが,
May you be happy!(あなたが幸せになりますように)
のように2人称も可能です。命令文と区別するためには,may があった方がいいでしょう。
ということで,祈願文は3人称が主で,2人称もあり得ますが,
命令文は(少なくとも心理的には)2人称
と頭に入れておけばいいでしょう。
参考文献
[1] 現代英文法講義 安藤貞雄著 開拓社(2005年)レベル表示について
レベル表示は,読まれる方が読んでめげないように,と思って付けるようにしました。
初級 : 初級
どなたにも読んでいただきたい内容です。
もし分かりにくい記述があれば,ぜひお知らせください。
初級 〜: 初級以上(途中で中級になれば 中級 と表示します)
中級 : 中級
例えば英語講座の中級クラスの方には読んでいただきたい内容です。
初級クラスの方は元気があれば読んでいただきたいですが,もし難し過ぎると思ったら,楽な気持ちでスルーしてください。無理に読んでめげないでください。
中級 〜: この表示以降は中級以上
上級: 上級
中級クラスの方にも難しい内容です。そう思って気が楽になれば幸いです。質問は歓迎します。
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