Alone and Lonely 留学中,はがきで打ち明け
南日本新聞2018年6月4日朝刊「こども」のページの英文を引用しています。
夏目漱石の英国留学中の直筆はがき3通(の実物)が,福井市の古書店で発見されたというニュースです。
福井テレビの記事(リンク切れになりました)によると,世紀の発見をしたのは、県立こども歴史文化館の笠松雅弘館長と学芸員の宮川陽子さんで,宮川さんは、昨年9月,いつも行く福井市内の古本屋で
「きょう入った(仕入れた)ばかり。見る?」
と言われたので覗いた箱の中からみつけたそうです。
その後,鑑定を経て,5月23日に公表されました。
初級 中級
Novelist Soseki Natsume wrote “I’m ①alone and lonely” in London on a postcard in 1900 to his friend in Germany. He saw Germany as a better place because there were many Japanese students.
novelist [ nɑ́(ː)v(ə)lɪst ] : n. (長編)小説家
Germany [ dʒə́ːrməni ] : n. ドイツ
今回も前置詞句がたくさんあります。副詞句が多いようですね。
副詞(句)が並ぶ順序は,ある程度ルールがありますが,表す意味によっても変わってきます。
今回の最初の英文では,
副詞句の順序が通常とは異なるようです
それによってどのような意味が表現されているのでしょうか?
・前置詞句をチャンク(かたまり)で捉え
・英文を読みながら英語として理解する(=感じる)
それができることによって,この英文の
副詞句の並びでうまく表現された意味
が理解できると思います。
記号づけ・チャンク訳
novelist は「肩書」なので,同格とは扱いません。
最初の英文は,最後の to his friend in Germany を除けば,
He wrote “I’m alone and lonely” [on a postcard] [in London] [in 1900].
という並びがふつうでしょう。
in London は,動詞wrote にかかっていますが, “I’m alone and lonely” の直後に置かれることにより
ロンドンで(淋しいと)書いた
のような感じになり,「ロンドンにいて淋しい」という意味を含む書き方になっています。
最後の副詞句 to his friend in Germany は,
He wrote a postcard to his friend in Germany.
という文を簡略化して付け加えた形でしょう。
このフレーズの追加によって,1つの文の中で,London から Germanyへ(葉書が送られた),という流れもきれいに示されています。
① alone : a. [叙述用法のみ] たった一人で
中級
叙述用法のみの形容詞
叙述用法のみの(第2文型,第5文型の補語として使われ,名詞の前では使われない)形容詞としては,aで始まる形容詞 がよく取り上げられますが,それ以外のものもあります。
1) aで始まる形容詞
able : a. … することができる
afraid : a. 《be afraid (of A)》Aを恐れている
alive : a. 生きて
alone : a. たった一人で
asleep : a. 眠って(いる)
awake : a. 目が覚めて
aware : a. 《be aware (of A)》Aに気づいている
など
aで始まっても,absent(欠席の),abundant(豊富な),adult(大人の)などのように限定用法でも使われるものもあります。
2) その他の叙述方法のみの形容詞
well : a. 健康な,体の調子が良い
unable a. 〔…することが〕できない
pleased a. うれしい,満足している
. a satisfied look (満足した一瞥)[1] とは言えます。
など
.
worth(…の価値がある)も同様の形容詞でしたが,目的語をとるため,辞書では前置詞として扱われるようになっています [1] [2]。
[2] ジーニアス英和辞典 第5版(2015)
ネイティブのライターとしては簡単なことかもしれませんが。